第16章 【琥珀色】CT knock
~Side爆豪~
ちょこまかと逃げ回る亜麻色の髪
必死に逃げ回る姿があまりに面白ぇんで
好き勝手に走らせていたが、俺の気はそんなに長くねぇ。
しかも、これじゃ話にならねぇ。
掴んだ手首を壁に留める。
息を整える肩を掴んで押し付ける
今朝も今もこの前と違ってハイリのツラには余裕がねぇ。
虚勢を張ってんのが見て取れる。
それは隙だと言って良い。
あれだけ堂々と宣戦布告したんだ
心変わりする気がねぇなら、
隙なんざ見せんじゃねぇよバカが。
吊り上がった頬をさらに上げると
負けじと睨み返された。
「待って!
暴力は駄目だからね!?」
「わあってる。」
睨む目も真ん丸なのかコイツは。
このビー玉みてえな目を見てると
調子が狂う。
怒りも苛立ちも消え失せちまう。
空になった頭はいやに鮮明だ
欲求に素直だと言うべきか…
欲しいモンが目の前にありゃ尚更だ。
柔らかそうな頬を指二本で抓まむと
予想以上に柔らけぇ。
(旨そうだな…。)
昼休みまで毎時間、追い掛け回してんだ
喉も渇きゃ腹も減る。
そういやまだ飯も食ってねぇ。
いわば衝動的な欲求だ。
「お前なんか…旨そうだな。」
腹ン中で思ったことを口にした瞬間
ビー玉みてぇな瞳に映る自分と目が合った。
こっちを見返すその表情は
俺自身、久しぶりに見る素の自分。
客観的に見ても思う
これは間違いなく本音だと。
ハイリが青ざめるのも納得だ。
震えた唇を見て
何か言い出される前にと
有無を言わさず脈打つ首筋に噛みついた。