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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第16章 【琥珀色】CT knock


~Sideハイリ~


たとえば――
番犬を飼っているとして
その子が家の前を人が通る度に吠える様な犬ならば
いざコソ泥が入ったときに家主はすぐ気づくことが出来るだろうか?

恐らく無理だ

いくら吠えて危険を知らせども
家主は「またか」と後手に回ってしまう。
下手したらそのコソ泥が逃げ終えるまで気付かないかもしれない。

では、逆に滅多に吠えない犬が突然鳴き出したとしたらどうだろうか?
きっと何事かと様子を見に動くだろう。


いつもと違う事象がある時ほど
行動も言葉も信憑性を増す。


「お前、旨そうだな。」


真顔で言われたこの一言は
まさにそれだった。



















あくまで比喩だった
ライオンもシマウマもサバンナも
全部、全て、丸ごと比喩だった。


だけどそれが今まさに比喩ではなくなろうとしている
パニックに陥った頭は、一周回って……
一周回ったのにパニックに変わりはなかった。

「え?」と呟いたつもりだったが声はでず
その形を象っただけの口はさぞマヌケに開いて見えただろう。


(喰われる……。)


人が人を食らうなど、倫理的にあり得ない。
わかってる
わかってるけど、
身動き一つとれないようにその爪で押さえつけ
一瞬で息の根を止めるために喉元に牙を立てる。
今しがたまでの自分の比喩表現が
そのままリアルに挿げ替えられれば
誰だって背を震え上がらせるだろう。



爆豪くんは、
表情を変えぬまま私の顔を上向かせ


そして
私の喉元目掛けて噛みついた。



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