第15章 【琥珀色】MRI knock
~Sideハイリ~
吊り上がった目が近づいて、私の答えを迫る。
圧力を掛けるのが恐ろしく上手な人だ。
もうオーラが違う
言葉なく詰められた距離はたった一歩なのに
喉元に牙を突き付けられたような威圧感。
これを無言の圧力と言うんだろうか
こんな状況でまともな考えが浮かぶとも思えない
それでも整理できていない頭を回転させて考えること、数十秒
考え出した結論は、結局似たり寄ったりだった。
「…じゃぁ――」
こんな事を言ったら「お前はそれしかないのか」と、焦凍にまた呆れられるのだろう。
心配かけてしまうのだろう。
下手したら怒られるかもしれない。
(それでも、これしか思いつかないもんな…。)
一歩下がって距離を取る
立てた人差しは爆豪くんの鼻先へ。
目一杯睨み上げて言い放つ。
「真向勝負だ!」
宣戦布告
フェアネスを貫くならばこれでしょう。
「……………は?」
投げつけたこの言葉に
爆豪くんはあの日とは比べ物にならないくらい
マヌケな顔で私を見下ろした。
ごもっともな反応だ。
そしてなんとも私らしい結論だ。
昨日から心を覆っていた鉛雲が、不思議なほど緩やかに晴れていく。
正々堂々真向勝負!
それが相手にとってどういう意味をもたらすのか
何も知らない私は、晴れ晴れと爆豪くんを見上げた。