第15章 【琥珀色】MRI knock
~Sideハイリ~
私は普通科にも通っているから尚更思う。
ホントこのクラスは賑やかだ。
教室の中に居るのはまだ10人程
それでも十二分にC組より騒々しい。
特に今日は一段と…
(そう…感じたんだけどな?)
気のせいだったんだろうか?
一歩踏み入れた途端に静まり返ってしまった教室内。
三奈ちゃんとぶつかりながら一歩廊下へ戻り見上げれば、間違いなくそこには1-Aと書かれている。
当たり前だ、間違いなくこのメンバーは1-Aの生徒
…だけど確認せずにはいられない。
なんせこんなに静かな朝は初めてだったから……。
「ハイリちゃんさ…」
最初に声を掛けてくれたのは上鳴くんだ。
そこに見慣れた陽気な顔は無く、いつもの「おはよう」も無い。
何かあったんだろう…
クラス内の空気から察した私は
何を言われるかも構えずに、何事かと首を傾げた。
しかしよく見ると、その虚ろな目は私を見ていなかった。
3~4日は寝ていないんじゃないかと疑いたくなる程の青白い肌、唇まで血色が悪い。
よろり、のそりとこちらへ近づく姿は
まるでゾンビの様だ。
何かあったどころじゃない
話を聞くより先に診せて貰おうとメガネを取った瞬間だった。
その一言に眼鏡のつるを持ったままの手が止まる。
「轟と付き合ってるってマジ?」
いきなりやってきた確信を突いた問い。
言葉を返すより早く、指先から硬直していくのがわかる。
眼鏡のつるなんて細い物
もち続けることが可能なわけがない。
――カツンッ
シン…と静まり返った教室に軽く固い音が一度跳ね上がる。
どんな言葉を返そうときっともう手遅れだと言う事にすら、私の理解は追い付かなかった。