第15章 【琥珀色】MRI knock
耳郎 響香 “個性”イヤホンジャック
長いコード状の耳たぶの先端にプラグが備わっており、壁などに挿す事で微細な音を探知することが出来る。
容姿は短めのボブカットに前髪を斜めに切りそろえると言うパンクスタイル。
にもかかわらず、意外にも乙女で常識人。
そんな彼女は二人の抱き合う級友を前にして、頭を悩ませていた。
(これは…ツッコむべき?)
確かに今の会話を聞けば、ハイリが爆豪を好きだと思い込む芦戸の気持ちもわかる。
だが、それでは昨日のあの会話はどうなる…?
思い出すのは昨日の放課後の出来事だ。
轟が何事も無く教室を出たそのきっちり五分後、追いかけるようにパタパタと教室を去ったハイリ。
事は生徒を二人外へと吐き出した
大きな扉が閉まった直後に起った。
『チートが相手かよーーー!』
上鳴が突然叫んだ…いや、喚いた。
頭を両手で抱えて両膝をつき
天を仰ぐ姿はもう「Jesus!」とでも叫んでいるかのようだった。
聞けば、轟がハイリを好きなことを認めたと
どうやらヒーロー基礎学後の更衣室内で、上鳴本人が直接聞いたらしい。
既に1度騒然としたであろう話題にも拘らず
男子の反応と来たら見てられるものでは無かった。
とは言え気持ちはわかる。
ハイリ争奪戦に轟がはっきりと参戦を表明したわけだ。
あのハイブリット野郎が恋敵とあっては、誰しも地団駄くらい踏むだろう。
だが、あくまで恋敵とあってはだ。
女子の反応は真逆の物
影を背負う男子生徒とは比べ物にならないくらい、その背景はピンク色に輝いていた。
『えーっ!? やっぱりそうなん!?』
『だと思ってた!』
「ねーっ!」と手をつなぎ合い驚き盛り上がる麗日と葉隠。
頽れた男子に追い打ちを掛けているつもりは毛頭ない。
ただ、女子と言うのはこういう話が楽しくて仕方ない…それだけだった。