第15章 【琥珀色】MRI knock
~Sideハイリ~
ギギ、と音が聞こえてきそうだ。
長い事触れられていない扉を開けるような音。
ぎこちなく回された二人の首がこちらを向くと
「ええ!?」
「なんで爆豪!?」
二つの驚嘆が同時に上がった。
スカートは跳ね、口は空けたまま
三奈ちゃんの黒目も耳郎さんの三白眼も真ん丸だ。
だけど私は自分で思っている以上に追い詰められているようだ。そんな二人の様子も気に留めず、一歩詰め寄ってもう一度口を開く。
「ね、居るのかな?」
今度は私がずいっと迫る。
まさに立場逆転だ。
戸惑って見えるのは、きっと気のせいじゃない。
困らせているんだろう。
(確かに、こんな形で知るのって卑怯かもしれない。)
第一そんな情報勝手に流されて
喜ぶ人なんて居るはずもないし…。
爆豪くんなら普通の人以上に嫌がるだろう…。
やっぱりやめよう、そう思って手を離しかけた時だった。
握っていた手にギュッと力が込められて――
「そ、そうだったんだ!!
私勘違いしてた!
うん、居る!
爆豪もハイリと同じ気持ちだよー!」
「やっぱりそうなの!?」
「うん! 絶対!!」
――かくして
私の仮説は定説となった。
「私、ハイリを応援するからね!」
「ありがとう…三奈ちゃんっ。」
登校時間帯の廊下は生徒も多いと言うのに
ヒシと抱き合う私たち。
そして、それに呆然とする耳郎さん。
「え、待って?
たぶん色々おかしいから……。」
呟かれた言葉はたぶんとっても重要な事だったんだろうけど
その言葉はあまりにも小さくて
私達の耳に届くことは無かった。