第14章 【琥珀色】後天性片想い
~Sideハイリ~
焦凍は本当に目立つ…そしてモテる…。
そりゃカッコイイし、頭も良いし
“強個性”で雄英ヒーロー科でしかも特待生。
モテない理由が無い。
一緒に街を歩けば
女の人どころか男の人も振り返るくらいだ。
なのに本人は何故か自覚していないという…
『焦凍ってモテるよね。』
『………意味わかんねぇ。』
こんな会話は日常茶飯事だ。
さっきの昼休みだって
女の子たちに呼び出されておいて
自覚無しなんて…慣れすぎでしょう!?
意味わかんないって何っ!?
それがこの人にとっては普通なの!?
「はぁ……。」
お陰で私に対する冷ややかな視線は
日増しに増えていく。
私のため息も最近じゃ3割増しだ。
何処から聞いたのか、何処かで見られたのか
彼の私への特別扱いは
都合の悪い部類にだけ浸透されている
…………気がする。
どんな話だったのか気になってしょうがないのに
校内であるここではそれも出来ない。
いや、家に帰ったって聞けるかどうか…。
不明×不安=最悪な妄想
これはもう
使い慣れてしまった公式だ。
「轟くんカッコイイよね~。」
なんて乙女な会話を耳にする度
勝手に喜んで共感しちゃってるけど
彼女としては少し…いや、かなり複雑だ。
この症状を緩和できる薬を作れないものか
恋する女の子が側にいるならぜひ試したいものだ。
自分を診察できないこの“没個性”が恨めしい…。
ここまで行きついたのが
今日の昼休み。
そんな私にまた一つ壁が増えてしまった。