第14章 【琥珀色】後天性片想い
~Sideハイリ~
『あまり爆豪と関わんな。』
爆豪くんが何か言ってくるたびに
焦凍は釘をさすように言う。
始めは、心配性だな…
なーんて苦笑しつつも
それも大事にされている様な気がして
内心喜んでいた。
だけど日が経つにつれ
焦凍の言ってる事が正しい気がしなくもない…。
なんだか私にだけ
過剰に突っかかって来る気がするんだ。
おかしいな。
認めるって言ってくれたんだけどな…?
初めて頭を傾げた時はその程度だった。
(――だったんだけどねぇ……。)
双方の言い合いは温度差が激しい。
「てめぇ…またかっ!
ハイリ邪魔だ、そこ退けっ!!」
「邪魔…?
コイツの邪魔をしてんのはてめェだろ…。」
顔を真っ赤にして怒鳴る爆豪くんに対して
焦凍は顔色一つ変えず淡々と返す。
「あの…次の診察を…ですね?」
「「………………。」」
そして見つめ合う二人。
やはり私は完っっっ璧、蚊帳の外。
いや、庇ってくれるのはとても嬉しいんだ。
でも常闇くんの次は焦凍なんだけどな…
わかってるよね?
出席番号順だもんね?
いいのかな?
透ちゃんに行っちゃうよ?
視線で訴えてみたけれど
焦凍も爆豪くんもお互いから決して目を逸らさない。
もう一度言おう
私たちは付き合っている事を伏せている。
だがしかしだ
相手は素直な焦凍なのだ。
特に自分の欲求に忠実な焦凍なのだ。
なにを持って
隠しているつもりなのかわからないけれど
伏せているのは『付き合っている事』だけ。
こんな風に爆豪くんが絡んでくると庇ってくれるのだ。
クールで無関心な轟くんが
そんなことをすれば誰だって首を傾げるだろう…。
何故、アイツだけ? と……。
つまり
あまり隠せていないのだ……。
これが忌々しき事態だと気付いた時は
時すでに遅しだった。