第14章 【琥珀色】後天性片想い
~Sideハイリ~
あれだけ反発していた割には
真面目に取り組んでいる方だと思う。
事実、思っていたよりずっと楽しいし
勉強にもなる。
診察時間は大体、ヒーロー基礎学中で
順番は基本、出席番号順。
他には休み時間だったりHR中だったり
体力の許す限りやっている。
てんでバラバラなスケジュール。
どんな状況でも
沢山の患者さんに対応出来るようになる為だ。
だけどこんなにバラバラでも
1つだけ出来上がったパターンがある。
「コラ、ハイリ…いつまで待たせんだ…あァ?」
のそりと現れては唸りを上げる。
なんというか…言いたくはないが
もう飢えを満たさんとする肉食獣の様な目だ。
爆豪くんの順番まであと2人いると言うのに
彼はなぜかいつもこのタイミングで急かしにやって来る。
お陰で、もう当然の流れと言って良い…
当たり前のように焦凍がやってきた。
「唸るな爆豪。仔犬を取って喰らう気か?」
「あ"ァ? 意味わかんねえこと言ってんじゃねぇぞ
半分野郎がっっ!」
因みにこの「半分野郎」というのは焦凍の事だ。
そりゃま、センターで分かれたおめでたい紅白の髪に
“個性”も半冷半燃
的を得てると言えば得ている呼び名。
その半分野郎は、諫めている割に特に表情は無く
ただ淡々と爆豪くんへ物申す。
「出席番号順だ。
大人しく待てねぇのか?」
(まさかと思うけど、仔犬って私の事だろうか…?)
常闇くんが逃げていくのを横目で追いながら
目の前の問題から逃げるように、そんなことを考えていた。