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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第13章 ♦番外編♦ 熱焦の瘢痕


~Side轟~


「自分の名前くらいピンと来てよ!」


バスタオル一枚でぺたりと座り込んだまま
押しつけられたノート。
均一に引かれた罫線を無視して
大きく書かれた一文字は


「轟?」


俺の名前だった。


「うんっ!
ね、似てるでしょ?」

「似てるっつーか…ま、形がな…」

「だよね! 似てるっ!」


ノートの向こう側からひょっこり出て来た上目遣いは
この段差だ、もうしょうがねぇ…。
嬉しそうに赤い痕を眺めては撫で、ふにゃりと笑う
そこもまぁ…我慢しようと思えば出来たかもしれねぇ。

だけどその理由がもう無理だった。


「これで名前も書けるよね?」

「……名前?」


理解できなかった訳じゃねぇ
理解したから固まった。





『ハイリにも俺の名前書きてぇ。』





こんな姿で飛び出て来て、
正直何事かと思った。
それこそ何か特別な……。

俺は昨夜の時点で飲み込んでたつもりの俺の願いを
コイツは「フイにしてしまった」
とでも気にしてたんだろうか?

わかってる、そう言う女だ。
わかってる、
誰よりも俺が身をもって知っている。


(あー…理性、無理だろ…。)


今ハイリに触れたら何するかわかんねぇ。

今更目を覆ったところで意味は無ぇ、だがそれでも覆う。
真っ暗な視界に今見たばかりの笑顔がこれでもかと貼り付いて、そのままベッドに背を預けた。



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