第13章 ♦番外編♦ 熱焦の瘢痕
~Side轟~
―――――――………
目が覚めたのは安心する温もりが去った後
余熱すら冷めきって初めて目を開いた。
「ハイリ…。」
昨夜から窓は開けたまま
日も高くなっちまった日曜の朝…じゃねぇ昼。
寝起きにハイリが居ないと毎回探そうとする俺は
母親を追うガキの様だと自分でも思う。
だが今日は探す必要はなかった。
やや離れた場所からガチャリと鳴ったドアの音は、たぶん風呂場のだ。
起きてシャワー…別に珍しくもねぇ。
もう昼だし、出かけるにしてもそんなに遠くは無理だろう。
そんなことを考えながらごろりと横になる。
すると
らしくもなく洗面所からハイリが飛び出してきた。
「焦凍っ! 焦凍っっ!!
起きてっっ!!!」
わたわたしてんのはいつもの事
らしくもないってのは格好だ。
髪は濡れたまま、身に纏ってるのはバスタオル一枚。
拭いたんだろうが肩には髪から滴った雫が玉を作り
それが柔らかな布一枚に覆われた胸の谷間へと消えていく。
普段はぜってぇこんな姿晒す奴じゃねぇ
なんかあったんだろう
着替える間も惜しんでやって来るほどの何かが…。
わかっていても、起き抜けにこれは
いや、起き抜けじゃなくても無理だろ。
「珍しいな。お前から誘ってくんのは貴重だ。」
「真顔で言わないで! 違うよ!」
俺だって違うとは思っているが
あながちそうでもねぇとも思う。
「これ見て!」と指し示されたのはバスタオルと肌の境だ
フニと押された胸が曲線を乱し形を変える。
目の前の欲に捕らわれたこの頭じゃ、ハイリの言いたい事を理解できるわけがねぇんだ。
(見ろっつったのはハイリだしな…。)
別に構わねぇだろう。
都合よく理解して引き寄せた肌に歯をたてた。