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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第13章 ♦番外編♦ 熱焦の瘢痕


~Side轟~


「んー…タトゥー…とか?」


提示された答えはきっと俺の要望を聞きさえすりゃ
誰しも出す解答だろう。

だけどハイリは望んでねぇ。
滑りの悪い口調と、絶え間なく泳ぐ目
一目瞭然だ。
困るどころか嫌がってやがる。

この薄闇の中でもはっきりとわかるハイリの反応に
自然と笑みが漏れた。


「どうだろうな。」


恐らく答えは出てんだろう
だが言い淀んでいる。

それは先に提示したタトゥーとは真逆の物で
だから言いづらい…と。
この流れだとそれが何かはすぐに予想がついたが
はっきり言って意外だった。



上方へと逸らされていた大きな瞳が俺へと定められ
言い惑っていた口が一つ、息をつく。
その口が指し示す物は、予想通りの物。


「ん……。
私、これが良いな。」


顔に掛かる髪をもう一度耳にかけ
眉尻を下げて
申し訳なさそうに笑うハイリは
自分の髪で隠された肩を指した。

それが何を指すかなんざ、見えずともわかる。

なのにふわりと舞い込んできた風が亜麻色を揺らし
隠れていた紅を、まざまざと宵闇に浮かび上がらせた。


「消えるから付けてくれるんでしょ?
だからこれからも、無くならないように毎晩…ってのはー…」


ダメかな…?
囁くために近付いた顔と鼻をかすめた甘い香り
柔らかにな髪が頬に掛かってくすぐってぇ。

なんで恐る恐るなのか。
本当にわざとじゃねぇんだろうか。

込む上げる感情を抑え込むようにハイリの頭を抱き締めると、ジタバタと俺の腕を叩いてはいるが

ちょっと今それどころじゃねぇ…。

可愛すぎる理由が嬉しいのか照れくせぇのかわからねぇ。
いや多分、コイツはいつも抵抗してるくらいが丁度いいんだ。


「く、るし…くるしいっ…!
しょーと! 焦凍っっ!!」

「お前がわりィ…。
ちょっと黙ってくれ。」

「無理っ…くるしっ!」


自分が欲しい答えってのは存外
自分で見つけられるもんじゃないのかも知れねぇ。

だから俺はコイツに問うんだろう。
コイツだから答えを求めるんだろう。


「ハイリ…。」

「……ぅん?」

「お前、突然可愛いコト言うのやめねぇか?
俺の心臓が持たねぇ…。」


それが運命ってヤツなのかもしれねぇなんて
初めて思った。
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