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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第2章 【桜色】先天性世話焼き


~Side轟~


問えば問う程
俺から遠ざかろうとする。

自分の心理を覚らせないためだろうが
ベッドに腰かけても尚、壁の方へと逃げていくもんで
ついには壁際に追い詰めた。


「で? 何が言いたい?」

「だから、ね? ここからは話を聞いた上での勝手な予想なんだけど、寂しかったんじゃないかな? って…。」

「俺がか…?」

「だって、お母さんに会ってないんでしょう?
私だったら寂しいもん。」


ずっと気になってた。
なんでこんなにコイツが気になるのか。
なんであんな悲しそうな目で尋ねられたのか。

顔の左右に手をついて逃げ場を無くす。
それでも、目の前の大きな瞳は左右に揺れて
必死に目を合わせまいとしているのがわかる。
それが無性にもどかしい。


「一つ聞きたいんだけど、
轟くんがヒーロー目指してるのって…お父さんに言われたからなの?」


しりすぼみに途切れた言葉の後、ゆっくりとあげられた瞳は悲し気だった。
朝と同じ瞳だ。
何でこんな目を向けられたのか今やっとわかった。


「いや、自分の意思だ。俺は左を使わずにトップになってアイツを――…」

「完全否定する?」

「……――ああ。」


コイツはあの時俺をなんとかしようとしたんだろう。

心療は専門外とか言っていたが、どうしてもそうとは思えねぇ。じゃなきゃこんな目をするわけがねぇ。

俺の返事を受けて伏せられた睫毛が白い頬に影を作る。

その姿はどうにも変えられない俺の意志を知って尚
どうにかしようと必死に考えているように見えた。

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