第12章 【桜色】ヨマイヤマイ
~Side轟~
大人びた表情で諭すハイリと
ガキみてぇに縋って訴えるハイリ
最終的にゃ
どんなハイリだろうが結局、敵わねぇ。
「ああ、一緒に居ような。」
乱れたままの髪を梳き、耳にかけてやると
ようやくホッとしたように息をつき、笑ってくれる。
こんなハイリだから手放してやれねぇんだ、
感情が落ち着いたってここだけは譲れねぇ。
この罪悪感も、さっきまでの行き過ぎた独占欲も
そう簡単に消えるモンじゃねぇってわかってる。
その度にハイリはこうやって欲しい言葉をくれるんだろう。
(やっぱり俺を癒せるのはコイツだけだ…。)
もう何度呟いたかわからねぇ
きっとこの先も心ん中で
幾度となくこの言葉を噛み締めてくんだ。
それでハイリが一緒に居てくれるなら
ずっと…治らなくていい。
ハイリにはワリィがそう思っちまったから。
片手を後ろ頭へと回して
涙を零すまいと瞬きを繰り返す瞼に、キスを落とす。
「こんな事しといて説得力ねぇが
………大事にする。」
「一緒に居てくれるなら、もう十分だよ…?」
「俺が足りねえんだ。」
「そっか…じゃぁ私も大事にするっ!」
ハイリがあまりにも屈託なく笑ったもんだから
誓いのキスはこの瞳にすべきだと
尚更思った……。