第12章 【桜色】ヨマイヤマイ
~Side轟~
真っ白な背中に小さな傷が無数。
聞くまでもねぇ
爆豪とやり合った時の傷だ。
俺だってあの一戦は見てたんだ。
こんな傷があるだろう事は予想できてた。
だが目の当たりにした瞬間
見たくねぇモンまで見えちまった。
心配なんて優しい感情じゃねぇ。
俺はいつだって膨れ上がらねぇと気付かねぇのか。
なんであの日を再現しようとしたのか
なぞろうとしたのか。
何故すぐ気付かなかった
この毒々しい感情に。
一度、地の底まで落ちた筈の感情が
落ちきった分、反動をつけて跳ね上がる。
この傷自体にキレてんじゃねぇ。
誰につけられたか。
それが腹立たしくてしょうがねぇんだ。
後ろから荒々しく胸を揉みしだきながら
反らされた背に唇を寄せ、
傷を掻き消すかのように花弁を散らす。
「あっ…や…ぁっ」
昨夜より甘やかに上がる喘声。
その声に安堵しながら
前に抱いた時より
数段膨れ上がった感情を身に刻む。
後ろからじゃ顔が見えねぇが
胸の頂きを摘まみ上げる度に
首を振りながら啼く姿は、昨日にも増して艶めかしい。
灯る愉悦。
独占欲を越えた支配欲。
そろりと片手を下へ伸ばしながら
背を這っていた舌は耳元へ
ピクリと反応したハイリを抑え込むように
耳たぶを噛み、囁いた。
「傷…まだ無いか確認しよう、な?」