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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第12章 【桜色】ヨマイヤマイ


~Side轟~


一度は凪いだ心。

渦巻く歪な感情はハイリの一言で癒え
今度はそれが変わって波風を立てる。


次に膨らむ感情は

渇望

文字通り
己の渇きを満たさんと
弧を描いたままの唇を奪った。















ガタリとなった机の音なんざ
耳に入らねぇ。
頭ン中は詫びばかりだ。



(悪い……。)



伝えるべき一言を口にする間も惜しい。


『言わなくてもわかってる。』
俺の髪を梳く指がそう言っているようで

ただその存在を恋い、ひたすらに求めた。


「っぁ……んっ…。」


上がる息すら飲み込むように
舌を絡め取っては味わう。

酒なんざ飲んだ事ねぇが
酩酊感ってのはきっとこんなんだ。

頭も目も眩んじまいそう程に回る。

酔ってんだコイツに。
甘い蜜で誘う花の様なコイツに。

淡く瞬く睫毛は濡れ
その目が俺を捉えて離さねぇ。

酔えば酔うほどに
頭は支配される。

並べ立てていた詫びが
泡の様に弾けては消え
ハイリで埋め尽くされていく。




満たされる毎に

俺はお前に溺れてくんだ。




「ハイリ…」


口にした言葉は
今唯一欲しいものだった。

いつの間にこんなに髪を乱しちまったのか
赤く染まった頬を包んだ両手には
亜麻色が絡みついている。

そんな状態も気にせず笑うハイリは
蕩けた目を細め
俺の前髪を指で梳いた。


「…なぁに?」


今にも寝ちまいそうな顔
甘やかす様な声

昨晩だって散々負担を強いたんだ。


なのに


まだ足んねぇ。
もっと欲しい。






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