• テキストサイズ

【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第11章 【桜色】慢性合理的疾患


~Side爆豪~


次に
開かれた丸い目にあったのは
確かな信念だ。

押し倒された状態で、俺を見上げているにも拘らず
その視線に気圧される。


「私がちゃんと掛合うよ。
あの人の目的は、私をヒーロー界に置く事なんだから。
大丈夫。切り札は、こっちにある。」


「大丈夫、大丈夫だから」と何度も繰り返す。
まるで自分に言い聞かせてるみてぇに。





昨日は確かに思った筈だ。
コイツはぶっ倒さなきゃいけねぇ奴だと。

だが思い違いだったのかもしれねぇ…

問いは、気付いたら口を衝いて出てた。


「お前、名前は?」

「え…紹介なら二度はしたはずだけど…?」

「いんだよ、知らねーモンはよ。」


女は不服そうにその首を傾げながら
名を口にする。


「楠梨ハイリ、です。」



楠梨 ハイリ。


気に入らねぇ事に
名を聞いて自分の中で復唱したのは初めてだ。

それくらい
見た事ねぇ人種。

負けたと言いながらこいつは負けちゃいねぇ。
結局、全てコイツの望みどおりになってんだからよ。

そしてそれに俺は、間違いなく満足してんだ。


(クソ腹が立つ。)


少なくともこいつはぶっ倒す対象じゃねぇ。
そう思いたくねぇのか、思えねぇのか
珍しく要領を得ない自分の感情に腹が立つ。


「ハイリ、認めてやる。」


ハッと息を吐き立ち上がる。
犬みてぇな丸い目で不思議そうに見上げるコイツに
更に腹が立つ。


なのに怒鳴る気には更々なれねぇ。
苛立ちすらねぇ
朝から腹ん中にあったもやは、今じゃ綺麗さっぱりだ。


だから、これは誰の為でもねぇ











俺の為だ。






/ 804ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp