第11章 【桜色】慢性合理的疾患
~Sideハイリ~
単調な攻撃ばかりが続く。
振り下ろして、薙ぎ払って…また振り下ろす。
恐らくこれ以上の攻撃をする気は無いのだろう。
それでも私は受け止めるのが精々のなだけど…。
全く
ここまで実力差があると
逆に清々しく思えてくる。
(流石、ヒーロー志望だ。)
へらっと緩んだのは頬だけじゃなかった。
心の緩みが、限界を迎えつつある身体に隙を生む。
「…ぁ。」
それはもう、何度目かわからない
目先をかすめた薙ぎ払い。
先程同様、変わすべく上体を反らせた身体が
バランスを崩す。
自分の重心が後ろへと引っ張られていく。
目の前の爆豪くんは次の攻撃を振り下ろしながら
驚いたように大きく目を見開いた。
「やば…っ」
思わず口を衝いて出た言葉が虚しく宙を舞う。
反転する視界に映るのは
腹が立つくらいまぶしい天井だ。
青くて、青くて絶対届かない。
単一な青は倒れきるまでの時間を
ゆっくり感じさせる程で
(あー…これは無理だ。
頭から行っちゃうヤツだ。)
後頭部に掛かるであろう衝撃に備えて身構えながら思う。
自分って本当にこういう事は諦めが早いなって。
寧ろ長所だと一人笑う。
途端
胸ぐらを掴まれたかと思ったら
単一な青を影が遮った。