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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第11章 【桜色】慢性合理的疾患


~Side爆豪~


気を取り直した放った2撃目。
ヒュっと音をたてたそれは空を横に切った。

身を大きく逸らせた女の鼻先をかすめた棒は
その延長にあった亜麻色の髪を梳く。
僅かな違和感に目でそれを追うと
今振り切ったばかりの棒の先に、キラと光るビーズで出来たヘアゴムが引っかかっていた。

その一瞬の間
ふわりと香った石鹸の様な香りに視線を戻してみりゃ
間近で自分の目を覗くように見上げる女の笑みだ。


(コイツ、懐に…っ)


少年の様に悪戯に笑う口は
無邪気に開かれた。


「隙あり、だ。」


自分で希望した武器を使わねぇのは
恐らく敢えて。
棒先を使えばまだダメージを与えられたかもしれねぇのに
女はそれを横に持ち、両手の平で俺の胸を突いて距離を取った。


「舐めてんな、てめェ。」


パワーもスタミナもねぇ。
あるのは多少の俊敏さと監察力…か?

締まりのねぇ能天気な目の割にゃ
一瞬の隙も逃さねぇ。

負ける気なんざ一切しなかった。


「手加減しまくっておいてよく言うよ。
少なくとも私は全力だ。」


恐らく嘘じゃねぇ。

かき上げられた前髪。
晒された額にはうっすらと滲む汗が光る。

それでもまともに攻撃をする気配がねぇってこたぁ…


(あくまで目的は会話ってところか?)


知れば知る程、変な女だ。
イカレてやがる。
俺が全力出したら、こんな奴すぐ壊れちまうってのによ。


(いつだって終わらせられんだ。)


ぼんやりと姿を現し始めた戸惑い。
心の内側で呟いた二度目の言葉は
どこか自分を言い聞かせるようなモンだった。


「いい加減目的を吐きやがれっ!!」

「だから真面目に手合わせをしようと思ったのだけどっ!?」


わかりやすく、受け止めやすいような攻撃ばかり仕掛けんのは
俺の意志だ。
それだけでもコイツの体力はガンガンすり減っていく。

ねじ伏せるのはそれからでいい。


「それだけじゃねぇだろうがっ…よっ!!」


2撃目同様、棒を横に薙ぎ払いながら鼻で笑う。
もう、自分が持ち合わせていた筈の苛立ちなんざ
とうに無くなっていた。





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