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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第10章 【桜色】二重カルテ


~Sideハイリ~


敬語で返したのは精一杯の嫌味だった。
だけどそれすら消太くん…いや、相澤先生は
私が折れた証拠だと受け取ったらしい。


「安心しろ、在籍はC組のままだ。
暫くは混乱するだろうが、その都度指示する。」


満足気に笑う姿は久方ぶりに見る優しい笑顔だ。

この人が何をしようとしてるのかも、
出来れば知りたいところ。


(大丈夫、たぶん選択は間違えてない。)


呼吸を整えてクラス内を見渡せば
数多の気遣う視線の中に笑みが一つ。

笑ったのは無理にじゃない。
彼につられてしまっただけだ。


「楠梨ハイリです。どうぞよろしくお願いします!」



深々と頭を下げる。

このクラスに向かった時点で腹は括った。
自分の言葉をなぞりながら、指示された席に着いた。

















「ハイリちゃん、大丈夫?」


休み時間が来るたびに
声を掛けてくれる新しいクラスメイトは、可愛い女の子6人。

梅雨ちゃん、お茶子ちゃん
副委員長の八百万百さん。
とっても明るい芦戸三奈ちゃん。
サッパリパンキッシュなカッコ可愛い耳郎響香さん。
全身透明で表情こそ見えないものの
優しい言葉を掛けてくれる葉隠透ちゃん。


「相澤先生も酷いよね!
本人の意思を無視して編入なんてさっ!」

「編入じゃないとは言ってたけど、編入だよね。いくら親代わりだとしても行き過ぎてるっての。」


さっきから机を叩いて怒る透ちゃんに同意してくれるのは耳郎さんだ。

どうやら推薦を蹴ってまでヒーロー科を拒否したことや
相澤先生との関係は
既に聞かされているらしい。

それだけでも十分過ごしやすいと思う。

あてがわれた席は、入口から一番奥・最前列、透ちゃんの前。

最前列と言っても透ちゃんの席と壁に対して、綺麗に45度の角度を保たれているその席は、普通の扱いとは程遠いものだった。


(何…この交換留学生みたいな扱い。)


理不尽だとは思ってるけど
このクラスに不満なんてあるわけが無い。
だって
周りには優しい人ばかりだもの。

私を囲ってくれる6人を見て、へらりと笑う。

代わりに怒ってくれる人が居ると
困ったことに、自分は怒る理由が無くなってしまうものなのだ。



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