第9章 【桜色】カレカノ依存症
~Side轟~
形は違えどこいつも色々と背負ってる。
わかっちゃいたがそれでもこうも違うのか
それが一番の衝撃だった。
自分の“個性”を必要とされながら
否定され続けてきたようなモンだ。
そんな相反する状況を同時に目の当たりにする。
ガキの頭で簡単に飲み込めるモンじゃねぇ…。
『治癒だけじゃない』
その意味を理解して、コイツが抱き続けて来た恐怖にやっと触れられた気がする。
見ず知らずの他人の心配までしちまうようなコイツの事だ
助けてぇのに出来ねぇ…
“個性”どころか自分の個、そのものに恐怖してきただろう。
なのに…
“個性”の否定を恐れて来たこいつは
親父とその“個性”を否定して生きてきた俺の言葉を
どんな思いで受け止めてくれたんだろうか…
どんな思いで笑ってくれたんだろうか…
あの日の笑顔を思い出すだけで
こっちの身は切れそうなのに
ハイリは始終笑顔を絶やしはしねぇ。
それどころかガキみてぇにはしゃいで笑う。
(コイツは俺よりよっぽど強ぇ。)
抱いたのは憧れにも似た感情だ。
多分、何を言っても気休めにもならねぇ。
それでも何か返したかった。