第9章 【桜色】カレカノ依存症
~Side轟~
一つキスを落とし目を見て告げる。
「なりたい自分に、なって良いんだろ?」
出て来た言葉は貰ったばかりのモンだ。
自分自身が一番楽になった言葉だったから…
たぶんそれだけの理由。
ぴくりと上げた瞼を固め
外から差し込むの光を受け星を宿したような丸い瞳は
一呼吸置いた後、その目尻から一筋の涙をこぼす。
「うん…ありがとう。」
安心したように細められた瞳。
消え入りそうな声とは裏腹に
首に回された腕には力が籠っていく。
今はただハイリが愛おしい。
抱きしめ返すほど
己の意志とは裏腹に熱は高まっていく。
結局俺は、俺の為に行動してんだ。
「わりぃ…お前可愛すぎる…。」
唇で涙の筋をなぞり首に顔を埋める。
「もう一回」と囁いた言葉に
「うん…」と小さな返事が返ってきた。
今夜はもうハイリを離してやれそうにねぇ。
本当は労わってやるべきだってのに
俺は本当にエゴの塊だ…。
きっとこれが
当たり前の日常になっていくんだろう。
こんな毎日がこれから続くんだ。
こんな毎日が。
ってことはつまり
今夜どころか、一生こいつを離してやれねぇ…ってことだ。
(俺も大概重症だ…)
甘い吐息を聞きながら、そんな自分を小さく笑った。