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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第9章 【桜色】カレカノ依存症


~Side轟~


もしかしたら泣いちまうかもしれねぇ。

そんなことを考えながら最初の相槌を打つ。

だけど、泣く気なんざ更々無い
そうアピールするかのようにハイリはお道化て笑う。


「なんでかって言うとね、偏に…危険だから!
なんだよねぇ。」


そう言ったかと思うと枕を抱いたままころりと転がり
今度は仰向けに。
肩をすくめて向けられたのは子供の様な笑み。

目に見えて落ち着きが無ぇ。
下手な演技を見てられず無理やり枕を奪い取る。


「あっ!」

「あ、じゃねぇ。
キツイなら話さなくていい。
話せる時でいい。」


そんなに強い口調じゃなかったはずなのに
ハイリはしゅんと肩を落として布団の中に頭まで潜り込んだ。
さっきから、らしくない行動ばかりでこっちの調子も狂うってモンだ。

それに…


「………ない。」


そんな状態で話されても聞こえる訳がねぇ…


「……ワリ、なんて言っ――…」


案の定、次の言葉は聞こえず聞き返そうとする。

しかし、言い終わるよりも先に
布団の中からズボッと頭だけ出して噛みついてきた。


「キツくないもんっ!!」

「…………………。」



初めてコイツの素を見た…


そう思った。


確かにフワフワして放っとけない奴だ
無自覚で無防備で危なっかしい
だけどどこか達観しているところがある。

そう思っていたが…。
目の前のハイリはそのどれにも当てはまらねぇ。

頬をぷぅっと膨らませ、まぁるい目で睨みつけ
心なしか涙ぐんでいる。

年相応どころじゃねぇ
ただのガキだ…。




だけどそんな姿に
俺は間違いなく、安心できたんだ。





「悪い、話の腰折ったな。
ちゃんと聞くから機嫌直してくれ。」

「ん、ちゃんと聞いてね。」


抱き寄せて頭を撫でると途端に甘えてくる。
頭を摺り寄せるのは癖だろうか…?
素に戻っても仔犬みてぇだ。


「とは言っても、こんな話するの初めてだから
要領得ないけどね…?」

「わかったわかった。
黙って聞く。」

「よろしいっ!」


あっさりと機嫌を戻したハイリは
眉を下げて笑った後、俺の肩に頭を置いて再び口を開いた。


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