第9章 【桜色】カレカノ依存症
~Side轟~
初めて呼ばれた名
それだけで自分の中心にグッと熱が集まった。
舌も視線も絡ませ求め合う。
ここまでハイリが積極的になるなんて考えてもいなかった。
トロリと溶けた表情は艶かしく
ただただ俺を掻き立てる。
擦り合わされている膝を割り
熱くなっている中心をなぞると
今度はあっさりと指が飲み込まれていった。
「っぅん…んん…っ…」
鼻にかかったような甘い声は媚薬みてぇだ
極端に視野が狭くなる
目の前のハイリの瞳しか見えなくなる。
もう…余裕なんざ
頭ん中いくら探しても見当たらなかった。
「ワリ、もう我慢できねぇ…」
一方的に吐き捨てると同時に指を引き抜き
返事も聞かねぇで自身をあてがう
ピクリと跳ねたハイリの肩、
久しぶりに見開かれた瞳に無言で問う。
時にして数秒
微かに強張っていた表情が、緩やかに薄らいでいった。
「ん、たぶん…私も、だと思う。」
やっと言葉になった
そんな声に満たされていくのがわかる
ハイリの頬を撫でながら、向けた笑みはきっと
情けねぇモンだったに違いねぇ。
「多分、痛ぇよな…?」
「たぶんね。
出来れば…一気に行っちゃって欲しい、かも。」
初めての事を目の前にして、緊張も恐怖もない訳がない。
俺だって壊しちまいそうで手ぇ震えてんのに
女なら尚更だ。
それでもこの段階で「一気に」なんて言える女は
コイツ位のものだろう。
本当に、妙な所で肝が据わってやがる。
フッと吹きだすとハイリもつられたように笑う。
「わかった。
辛くなったら言ってくれ。」
「大丈夫だから…あんまり躊躇わないで…?」
二人きりの部屋の中
誰に聞かれる訳でもないのに、密事を話すかのように囁き合う。
あてがったままの自身で入口を撫で
そのまま一気に貫いた。