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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第9章 【桜色】カレカノ依存症


~Sideハイリ~


名前を呼ばれた轟くんは
ゆっくりと目を細めて笑う。


「家に帰ったら何しても良いって言ったのは
ハイリだ。」


その笑みは、ほんの数時間前に見たものと同じもの
その筈なのに止まった思考では
何処での記憶かすら引き出せない。


(そんな事、言ったっけ?)


何かを言おうとして
開いた口は再び閉じた。

なんて言ったら良いのかわからない。

自分で言葉にするのすら難しかったのに
轟くんの方が私の頭の中を理解している様だった。


「大食堂で『こういう事は人の居ない所で』
って…言ったよな?」


見覚えのある愉悦に浸った瞳
記憶の中のソレより熱を帯びた双眼が近づいて
同じ場所に唇が触れる。

触れたこめかみは同じくらい熱いのに
違うのは儚い水音と共に離れた事。
そんな微かな音にさえ震えあがる程
この空気に飲まれてしまっていた。


「ん…言った…。」


返した声は細々と
これだけ近くに居ても聞こえたかわからない

昼休みの出来事を
ぼんやりと思い返すと同時に
あの時の熱も蘇ったみたいに体が熱くなる。


「嫌だったら言ってくれ…
お前の嫌がることはしたくねぇ…。」


ささやく声は優しいのに
射竦める様な瞳はとうに見透かしている

私が嫌がる訳ないってわかりきっているような目

その考えを裏付けるように
触れるだけのキスを落とした唇は
淡く弧を描いた。






――今日の轟くんは本当に良く笑う…





今朝とも昨日とも違う強引さに
頭の芯まで支配された

そんな感覚だった。






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