第8章 【桜色】パニック &ぱにっくシンドローム
~Side轟~
結局――
この日の飯田の行動を受けて
「自分より飯田の方が良いと思う」そう結論付けた緑谷が
推薦したことにより、うちのクラスの委員長は飯田となった。
「へぇ…飯田くんがねぇ。
あの格好は笑えたよね!
非常口みたいでっ!!」
「だな。」
帰宅中、
ハイリは昼休みの件を思い出しては笑っていた。
同意したものの
俺の心中は複雑だ。
なんせ朝の一件以降クラス内で
変な噂が流れ始めていたもんだから。
『相澤先生とハイリちゃん
絶っっ対ただの教師と生徒の関係じゃねぇぇぇ……。』
『言うんじゃねぇっ!
オイラだって考えないようにしてたんだぞ!!』
項垂れていたのは
上鳴と……名前覚えてねぇ……。
とにかくブドウみてぇな髪型の奴だ。
突然現れた他クラスの生徒に対して
教師が名前を呼び捨てりゃ
只の関係じゃねぇ事は容易に想像はつく。
問題は、どんな関係として想像されているかだ。
『教師と生徒…
そんな関係に憧れるお年頃なのか!?
あ”~~俺の天使がぁぁッッ!!』
テメェのじゃねぇ
俺のだ。
内心悪態をついたのは言うまでもない。
あり得ねぇ方向に暴走する二人
だが、相澤先生がハイリの名前を呼び捨てたのも事実
二人を諫め、宥める奴も結構いたが
はっきりと否定するヤツは居なかった。
俺にしてみりゃいい迷惑だ。
ただでさえ関係を伏せることに理不尽さを感じてるってのに
その上
例え担任といえど、他の男と噂されたんじゃ
たまったモンじゃねぇ。
そもそも伏せる意味はあったのか
今となってはそこすら疑問だ。
この問題に関しては、
早々にケリ付けて貰わねぇと気が収まらねぇ…
当然、矛先はハイリに向いた。