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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第8章 【桜色】パニック &ぱにっくシンドローム


~Sideハイリ~


止む無く飲み込んだ反論だったけど
それでも叫んで呼び止めた現状は変わらない…。

何事かとこちらを見ている3人から目を逸らしながら
それらしい用事を考える。
自慢じゃないけど、私はこういう咄嗟の嘘は天才的に下手だと思うんだ。

今もまた、ロクなのが思いつかなかった。


「えー…と、朝、HR…
あれからどうなったか教えて貰えませんか?」

「…………ああ
昨日の戦闘訓練のV見た感想と、委員長決めだったな。」


轟くんの軽い間が辛い。

面識がほとんどない設定のせいか
冷ややかな目も辛い。


「そか…で、委員長は誰が…?」

「ああ、アイツ――…緑谷だ。」


恥ずかしい程のわざとらしい会話は勿論3人を誤魔化す為のものだ。
私たちを注視していたであろう3人は
緑谷くんを指さされ、目を逸らしそそくさと去って行く。

もう誤魔化す必要はないのに
轟くんはこのやり取りをお気に召したようで…


「楠梨、他にもあるか? 」


ガヤガヤと賑わいを取り戻した食堂に戻る気にもなれず、ガラス張りの壁に手を付けて深呼吸する。


「いえ、何もないです。轟くん。」


嫌味を返すつもりで付け足した名前だったけど
言ってから気付いた。


(私はいつも轟くんって呼んでるから
嫌味になってないわ……。)


窓ガラスの向こう側、植えられた木々の先に見えるのは
数台のパトカーと撤退し始めた報道陣。
そして「バッド マスコミュニケイション!!!」と悪態をつくマイクの後ろ姿。

成程、教師陣は対処に追われていたって事か。


(あの人たちのせいだっっ!!)


握りしめた拳で綺麗に磨かれた窓を叩く。

もはや自業自得なんて言葉は頭の中から抹消され
理不尽な怒りを彼らにぶつける事しか出来なかった。



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