第1章 東京大雪
東京に珍しく雪が降った。
雪自体はそれ程珍しくないかもしれない。多分毎年降ってる。
だがこれ程の大雪は珍しいんじゃないか。
TVが外出の自粛を呼びかけ、あちこちの会社で早期退社が行われている。オレもそんな訳で早めに家に帰り着いた。
オレはつけっぱなしだったエアコンのスイッチを切ると、家中の窓という窓を開け放った。強い寒気とともに白い雪が部屋に入り込む。
寒い。
オレは北海道の出身だが、さすがに窓全開は寒い。
なるべく厚着をして布団に潜り込んだ。
今、何時だろう。
外は暗い。
窓のサッシには雪が積もって白く染まっていた。オレの吐く息も白い。
故郷の冬を思い出す。身体の中から凍えるようなあの、痛々しい寒さ。本当にあれはつらい。
それでもオレは冬が嫌いではないんだ。白い冬は何よりも美しいからな。