第7章 今宵の月に【太宰治】
治「本当に何でもないのかい?」
私の首に顔を埋める太宰さん
『な、何でもないですよ...』
心臓が五月蝿いほど音をたてる
治「ねぇ詩乃?心臓ドキドキしてるね」
『そんなことないです!』
そういって振り向くと
真剣な眼差しの太宰さんと目が合う
治「誤魔化さないでよ」
私の手をとり
自分の胸へ引き寄せる太宰さん
治「私だって同じ位心臓が五月蝿い」
恥ずかしくなって顔を俯かせると
太宰さんに抱き締められる
治「ねぇ好きだよ詩乃」
嗚呼、両思いだったのか
とてもとても嬉しい
滲んでいく視界
太宰さんに顔を上に向かせられ
滲んだ視界の中で太宰さんと目が合う
少し驚いた顔をする太宰さん