第17章 しんろそうだん2
「進路?」
「そ、そう…」
「普通に進学だけど、るるさんあんまり考えたことない?」
「そう、なんです……」
ごもっとも過ぎて落ち込む。
菅原くんはとても相談しやすい。
つい、こんな、どうしようもないことを聞いてしまう。
こんなに長生きするつもりなかったんです、と付け足すと怒られる気がしたので、そっと胸にしまった。
「るるさん、そういえば結構変わってるよね?
スマホも最近だし、学校と家の往復しかしてなかったみたいだし」
「うっ…」
そこに勘付かれてしまうと非常にまずい。
話題を変えたい…。
「そういえば、成績はどんな感じ?」
「中の中の中…かな?
理系よりかは文系だとは思う。
現国はそこそこだけど、社会ちょっと苦手」
「そうしたら教科絞って受けられるところ探して、なるべく社会外せるところに…」
パラパラと分厚い資料をめくると、菅原くんはおすすめのところを探してくれる。
「ここなら偏差値的にも……」
「菅原くん、大学って、行かなきゃいけないのかな…?」
私のこんな、すっとんきょーな質問にも、彼なら答えてくれる気がして、せっかく調べて貰ってるのに聞いてしまう。
「そんなことないよ!
でも、やりたいことを探すなら有りだべ?」
「うーん…」
受験に対しても不安しかないし、進学に対してもあまりにも前向きになれなくて、資料の細かい字を目で追って落ち込んでくる。
「るるさんは、将来の夢とか決まってる?」
「繋心さんのお嫁さん」
「…っ!!!」
色白の彼の肌が一気に赤くなる。
しっかりしてるのに、初々しい一面が見れて少し得をした。
「そ、そう…。参考までに聞くけど、どこがいい?」
「部活してるところが凄くイイの。
皆が怒られてるの、羨ましい!」
私はそう言うと、菅原くんは、物好きって呟いた。
「色々相談聞いてくれてありがとうございます!」
「お役に立てませんで」
「とんでもございません!」
教室前でお互い深々と頭を下げる。
「るるさん、あの、今でも……」
「ん?今?」
「ごめん、なんでもない」
何か聞きかけた菅原くんは、やっぱりいいって言って踵を返していった。
前向きな彼の意見は凄く参考になった。
「ちょっとは勉強しよっ!」