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迷い道クレシェンド【HQ】【裏】

第97章 【番外編】マリーゴールド


「同棲が長すぎると結婚してもイマイチ変わらないだろう」
同期の飲み会となるとまたそうやって面倒な話を振られてしまう。
まあ、と適当に相槌し、流そうとする。
「これからどんどん面倒くさいぞ。
たまの休みはご機嫌とり、子供なんて出来たらただのATM扱いだ」
苦々しくそう吐かれた言葉は虚しく天井に向かった。
同じ年でも人生の先輩の言葉となると若干重苦しい。
自分もやがては、愛しい女にそんな愚痴も言いたくなってしまうんだろうか。
「でもコイツんとこはまだ大学出たばっかだぞ!」
「若さなんて最初だけだべ!
いつかはなくなるんだ!」
確かに、いくつ年下でも結局共に老いるものだ。
納得もしてしまう。
「結婚なんてやっぱ人生の墓場だと思うぞ!」
「そういうもんか?」
漸くここで口を開く気になった。
「ああ」
「なるほどな」
「今日だって飲むだけだっつーのにどれだけ機嫌直すのに苦労したか…」
笑い話をするように朝から媚びへつらったかを指折り話される。
「今度埋め合わせするっつって、一発シたらいいだけじゃないのか?」
「は!?」
「いや……」
「お前なぁ、家族になったら恋人ごっこなんて終わりだぞ!」
「……はぁ?」
いいか?と前置きされ、断る隙も与えられず、立場がこうだなんだと長いこと文句を聞かされた。
「…故にスキンシップも向こうの許可制だ。
甘い生活が待ってるだなんて思うなかれ!!」
長い人生の先が不安になる飲み会だった。
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