第11章 傷痕
ムカつくことに、どんなに追い込んでも学校では彼女はいつもの彼女だった。
もっと動揺するかと思ったのに。
支配できないことに対しての俺のイライラは増すばかり。
今以上にもっと怯えて怖がって、やがて俺しか見えなくなってほしいのに。
もっと酷い目にあって欲しい。
そう思って部活の後に一緒に帰ろうと呼び出した。
場所はお馴染みの倉庫。
部の先輩を何人か声をかけるとノコノコついてきた。
俺だけだと油断したるるが、でかい男数人に囲まれたことでやっと少し顔を歪ませる。
でも、案の定の余裕だ。
「徹さん、先輩たちですか?」
「そーだよ」
「おい、マジでヤっていいのか?」
「勿論ですよ」
ニヤニヤと笑い、るるがどんな顔するかと思ったが、まだ平気そうな顔をしている。