第10章 初恋
帰宅すると、母親が喜んで出迎えてくれた。
るるの顔はいつもの余裕を演じていた。
「怪我はない!?」
「…はい、少し転んで擦りむきました…」
「あらあら、お風呂先に行ってらっしゃい!」
部屋まで鞄を運んでやり、部屋を閉めてからそっと消えそうな彼女を抱き締める。
「悪いと思ってんだろ?
そう思うなら、もう逃げないよね?
それとも、俺と繋がったことをバラされたい?」
「……!
…は、い…」
「うん、いいこだ」
「……」
「皆寝たら俺の部屋に来い。
もっと、イイコト教えてあげる」
「……はい」
見えない鎖で繋がれた可哀想な俺のペット。
可愛くて壊したくて…、やっと本当の俺で向き合える相手。
逃げ出さないようにしなくちゃ。
だって外に出たら、すぐに死んじゃう弱い存在なんだから。
何もかも世話をして、ゆっくり育ててあげよう。