第85章 【番外編】邪魔な奴
「また変なのに目を付けられやがって…」
さすがに激オコという表現レベルで、此方はヤニをたっぷり味わう。
なんとか平静に、と自分に言い聞かせ、ギッと目の前の女を睨んだ。
「むっ…私だって、付けられたくて付けられているわけではありません…」
そっぽを向いたその頬を片手で抑え、此方を向かせる。
「目ぇ反らすなや」
「……ふぁい…」
ゼミの飲み会とまでは聞いた。
それはもう、こっちだって親じゃないし向こうだって子供じゃない。
そのくらいは許すし迎えにも行くし、問題はない。
ただ、べっとりと明らかに付けられたような男物のコロンの香りを漂わせて帰ってくるのはいただけない。
「そりゃ向こうが悪いのは百も承知だ。
勝手に手を出したのは輩だ」
「そうでしょ?私悪くないモン…」
「ただ、友達もいたんだろ?
二人きりを避けるとか、早めに帰るとか、色々出来ただろ?」
「……それは、本当に…、その人も友達だったから……」
ごめんなさい、とかなり小声でソイツは呟いた。
「よし」