第83章 【番外編】優越
腕の中の身体は、完全に力をなくし、一気に重力がかかる。
我に返り、慌てて抱き止めた。
「るる先輩!?」
漸く、自分のした変態行為に恥じた。
「せっ!!先輩!!ごめんなさいっ!!」
「……っ、はぁ、ぁ…」
口からつっと一筋流れる液すら美しい。
赤い顔に涙目で、一瞬だけ困った顔で自分を見る。
(か、かわっ…)
「ひ、日向くん……、内緒、だからね…?」
「も、勿論です!!!」
「他の女の子にもしちゃダメだよ」
「しません!!ごめんなさい!!」
「…よし」
先輩はやっとにっこり笑うと、よろよろと立ち上がった。
(わ、めっちゃ、ドキドキしてる……)
よくわからない汗で背中がびっしょりだ。
それと、下半身も、先走るそれで。
あまりの恥ずかしさにしばらく考えが停止した。
昔の先輩は、もう少し話しかけにくい雰囲気だった気がする。
今は明るくて、そして可愛い人だと思う。
それでも、そういうコトをシている彼女は、変化がないと思うと、ほんの少し、それを垣間見れた優越感が少なからずあったり。
影山がなんで彼女を好きなのか、なんとなくわかった気がする。
そして、彼女の香りについても。
ほんのり髪に残る煙草のにおいが、何よりの証拠だとも思った。