第83章 【番外編】優越
下から数えた方が早いくらいには身長の伸びは相変わらずだったが、なんだかんだ自分より下がいるのはちょっとした優越感だ。
後輩にもちらちらやはり自分より小さいのがいるとなると、ちょっと嬉しい。
そして、女の子との差が出来るのは、尚のこと嬉しい。
たまに手伝いに来るるる先輩も、さすがに自分よりは小さい。
小柄な印象ではあるが、頭や顔が小さいからか、少しすらっとしてる気持ちだった。
倉庫で背伸びしてる先輩を見つけ、後ろから声を掛けたのがことの発端だった。
「るる先輩ー!」
「あっ、日向くん」
「どうしたんですか?」
「あそこのファイルが届かなくて…なんか台になるのを探してたんだけど」
「あ!そこなら届きます!」
ただ何も考えてなかった。
ふわっと、濃厚な花の香りがする。
香水としか思ってなかったが、違う気もする。
なんとなく先輩より容易く目的の物が手に入るのが嬉しくて、そのまま後ろから手を伸ばし、棚と自分の身体で彼女を閉じ込めるように取り、
「ほら!」
とそのまま腕を前に回して見せつけた。
「っ!!」
「るる先輩?」
「ぁ、ご、ごめんね、びっくりしちゃって…」
確かにこの体制はよろしくない。