第81章 【番外編】幸せになります
「なんだ、ガキ連れて」
「あはは…」
こんな時に限って何があったかわからないけれど、繋心さんの機嫌があまりよくない。
「お前がるる姉のてーそーを奪った奴か!?」
「!!!?」
「はぁ?おいなんだこのチビ」
「甥っ子…かな?」
「ああ、なんかいるっつってたな…」
嫌そうに煙草を消しながら、身長を屈めて目線になる。
そういうことがすんなり出来るって、すごいなぁと思った。
子供慣れしているというか…。
(おじいさまのところに沢山いるからかな…)
「あのな、ガキ。
こっちは手順踏んで付き合ってんだ。
奪ったとは言わねえ」
(うん、そうでもないよね?)
茶々を入れたかったが、ぐっと我慢する。
「それに比べてお前の憧れてる坊っちゃんはな…」
「繋心さん!」
「…兎に角、こっちもマットーなことしてマットーに嫁を貰う算段だ」
「るる姉はこんなオッサンでいいのかよ…!
徹のが顔も性格もいいぞ!?」
「ああ!?んだとこの…」
「繋心さん、子供相手ですから…」
慌てて止めに入り、兎に角今日はタイミングが悪かったと反省する。
二人ともすっかり対戦モードだ。
「もう、送ってきます…」
「帰れ帰れ。今日の飯の買い出しは…」
「私、今日は帰りませんから…。戸棚のインスタント食べておいてください」
「ガキの味方かよ」
「もう、そうじゃなくて……もういいです」
徹さんが帰るまで、猛くんが不憫にならないようにしようと思った。
それをまさか敵味方と言われるとは思わなかった。
やるせない気持ちにため息がでて、帰る気をなくす。