第80章 アップルアンドシナモン終
本人がそれを無意識にやってるのかはしらんが、嬉しそうにソイツを連れてきた。
「お久し振りっす!!!!」
「声が、でけえ……」
二日酔いでイラつきながら玄関を開ければ、身体も声もデカい奴がいた。
「梟谷の元キャプテンじゃねえか」
集まりかなんかで二度ほど連絡を取った記憶がある。
その後、色々あったのは、なんとなく忘れたくて思い出さないようにした。
「取った宿が今日だけ急にキャンセルされちゃったんですって……。
うちに、泊めてもいいですか…?」
と言っている割には、申し訳なさの上に少し嬉しそうだった。
嫉妬心がどことなく出てくるが、特に何かをするわけでもあるまい。
諦めてその要請を受け入れることにした。
「他にもあったろ」
「高くて手を出すに出せなくて!」
「うるせェよ……」
ちらりと横目にるるを見れば、嬉しそうに飲み物を用意してくれている。
友達なり義兄なり呼んだりはしていたが、滅多なことだと浮かれているんだろう。
それにしても、他の奴にも比べてやっぱりコイツにだけは、距離が近いように思う。
そこが、なんとなく、嫌悪感がある。
しかし、それは、同族嫌悪にも似ているような気がする。
本当に僅かで、気のせいかもしれないが。