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迷い道クレシェンド【HQ】【裏】

第79章 【番外編】大人と子供


かなりテンションの高いおばさまがポーズを事細やかに指定し、それをカメラマンさんに伝えていく。
背景色や小物まで指定し、私達はどぎまぎしながらそれに従った。
「結婚式みたいで最高ね!」
「いや…」
「それはちょっと」
「いやーねー!二人とも何本気にしてんのよー!」
「う……!」
「ぁ、はい…」
前の関係があるせいで、そういう言葉にお互いかなり敏感になってしまっている。
それでもおばさまは嬉しそうに楽しそうに、私に色々言ってくる。
「近付いて!」
「……」
まるで密着でもしそうな程の距離にされ、私は緊張で顔が強ばる。
徹さんが、帯を崩さないように、そっと身体を寄せて、
「すごく、綺麗」
と他の人に聞こえないように呟いた。
それが、ビックリしたというか、感動したというか……、え?と思いっきり顔を見上げてしまった。
視線がかっちり合ったところを、ばっちりと写される。

おばさまはその写真を大層気に入ったらしく、一番大きいサイズで注文していて、私と徹さんはそれを阻止しきれずにいた。
あれを親戚に自慢して回るのかと言われ、お互い頭が痛かった。

「るるちゃん、私ほら、男の子ばっかりだから、凄く嬉しいの!
女の子って色々できるじゃない!?」
帰りの食事会で前のめりにそんな話をされ、これも親孝行なのかな、と思いながら、やっと今日初めて心から笑えた気がした。
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