第75章 【番外編】水着のお姉さん
珍しく声をあらげて怒った。
夏休み最後の練習はプールだと言われ、そこまではいいとする。
「お前もなんか着ろ、この前のでいいだろ」
とあっさり命じてくれる。
「ぜ、絶対イヤです!!」
「イヤじゃねえ。
お前は男子高校生の士気上げとなるんだ。
『お姉さんの水着』、それは絶大なエネルギーなんだぞ!?」
「ひ、ひどいっ!私をそんな目で見てるんですか!?」
「……皆が皆とは、俺も言わない…。
10人中9人は、それはもう、ヤバいと踏んでる」
「ほぼ、全員じゃないですかぁ……」
涙声になりながら、とにかく嫌だと訴える。
せめて、全身ラッシュガードにしてくれと、切にお願いする。
それも折れて貰えなかった。
「いつもの繋心さんなら、自分の前だけにしろ!とか、いいこと言ってくれるのに……」
「大会前だからな、そこは、先輩として、やるべきことをやってやるだけだ」
なにそれ、ちょっとかっこいい……。
とかそんな理由で同意してしまい、私は落ち込みながら当日を迎えた。