第74章 【番外編】ショコラカラン
ふわっと漂う香りと、少しキツい甘い匂い。
もう一度口にふくみ、今度は唇に宛がう。
自分の口からとろみを増したそれを流し、舌を絡ませた。
いつもと違う、ぐちゃぐちゃという音をたてながら、またその口の中のモノを奪う。
「は、ん、んふ、ぅ、っ…」
小さな吐息と何故か喘ぎが混じり、また波がくると彼女は訴えてくる。
チョコの味を返されないように流し、
「勝手にイけよ」
と笑いながら言うと、恥ずかしそうに、飲みこみながら、びくっと身体を震わせた。
「…っ、ぅ、ひ、ひどい…!
ひとりで、いっちゃったぁ…っ!」
生理的な涙を流しながら、寂しそうに手を顔に這わせてくる。
細い指に光る指輪が、むずむずとした痒みを与えてくる。
「いつもだろ、変態」
吐き捨てるように言うと、目を反らされた。
「こっち見ろ」
「やだ、やだぁっ!」
「だって?」
「…っ、だ、だってぇ……」
次の言葉を先回りして、返事を待ったが、ただその長い睫毛が揺れるだけだった。
「繋心さん、今日、いじわる…っ」
「いつもよりやさしー」
「ゃ、さしくないっ…」
身体を退けようと、頬から胸に手が移動する。
こそばゆいそれを止めさせるようにまた口を塞いでやり、手元にあったボトルの中身をまた少し出した。