第9章 ケータイとイルカ
「ネットとかはしないのか?」
「授業でやりましたよ!」
「あれがほら、片手で出来る……って」
「ほんとですか!!?」
んなに驚くことかよ、と内心思いながら不思議そうにするるるを見る。
「あと動画なんかも見れるぞ」
「えっちなやつ!」
「見るかよアホ」
「繋心さんは、女子高生の動画観てそう!」
「観ねーよ!」
「あのね、徹さんはね、見せながら同じコトを…」
「やめろ、それ以上はやめろ!」
何故それを急に言い始めたかわからないが、慌てて遮った。
でないと、次顔を合わせたら、絶対に殴ってしまうだろう。
赤信号になったのを見計らい、ダッシュボードを開けて紙袋を取り出す。
「ホラ、ケータイ。
俺の名前で契約してあるから。
親権者やら保護者やらめんどくせーし。
俺とうちは登録しておいてやったから」
「わあー!ありがとうございます!」
語尾にハート何個ついてんのか、嬉しそうに甘えた声で言う。
「あとはテキトーにお友達に使い方聞いとけ」
「そうします。
これ、いくらくらいですか?」
「まあ受験生にバイトしてまで払えってのもな…
それこそハメ撮りでいいぜ?」
「はめ…?」
「ヤってる最中の動画」
「…うぅー…繋心さんの意地悪……」
「ははっ」
「………」
「…マジで悩んでんの?」
「あっ、冗談ですか!?」
「ったりめーだろ」