第73章 【番外編】夏の夜の夢4
低気圧気候の狭間、轟音の響く窓の外。
暗がりにいるその男女をしかめっ面で睨み、ようやっと理解する。
「……及川」
るるが最も嫌う奴として名をしっかりと覚えている、故にこの情況はありえない。
それにしても心臓に悪い。
「お邪魔してます、にーさん」
「その言い方、絶対やめろ、キッショい」
「いずれそうなるんだ、諦めろ」
「……マジ……」
はあ、とため息が出る
「7割察しはついた、が、なんだこの状態は。
おーい、るるさん起きてくださーい」
ぺちぺちと白い頬を叩くが起きる気配は全くない。
「止めなよ、疲れてんでしょ」
「ったく……」
苛々が隠せず、一本火を付けた。
煙が白く部屋にもやをかけていく。
なんとなく、落ち着いてはきた。
「まだ吸ってんの?
るるが肺炎になったらどうすんの?」
「っせーなお前だってやってたろ、未成年で」
「もう止めましたぁー、あなたとは違いますぅー」
「あぁ?表出ろや」
「うっわ、にーさんこわーい。
おとうといじめてたのしいですかー?」
「ブッ殺す」
「どっちが先に倒れるんでしょーかねー、オジサン」
「おにーさんかオジサンどっちかにしろやこのクソガキ…」