第72章 【番外編】夏の夜の夢3
るるに年賀状を書いたが出せなかった。
恥ずかしいのと悔しいのと寂しいのと……男らしくもない感情が複雑に入り交じって、ポストの前に立ったが、結局持ち帰ってしまった。
それは今も、鞄に入れっぱなしである。
そしてもう残暑見舞いの季節であろう。
台風に備えての買い物なんて、そんなのカモフラージュ。
どうしても、その葉書に書いた言葉を見てもらいたくて持ってきたようなモノだ。
でも、いざ見られるとなると、逃げ出したくなるくらいに………。
そういえば今日こそここに来ようと思ったのも、岩ちゃんのお陰だっけ。
らしくない、なんて言われて来たんだった。
もし渡せたら、お礼に何か奢ってやろう。なんて。