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迷い道クレシェンド【HQ】【裏】

第67章 【番外編】煙の奥のチョコミント


なんとか保健室まで連れていき、一応の処置はした。
「恥ずかしい、しにたい……」
るるさんはすっかり落ち込んでうわ言のように呟きながら横になっている。
「よくあることっすから…」
「好きな人を覗き見して鼻血を垂らす痴女とは私のことでございます……」
(あながち間違ってないのがなぁ…)
それを言ったら死にそうなので言わないでおこう。
恐らく配る為に買ってくれた飲み物を1本開けて手渡した。
白く細い指に光る指輪が、何とも言えない気持ちにさせる。
終わった初恋に、あと何年モヤモヤとした気持ちが続くんだろうか。
「影山くん、ほんとに、内緒ね……」
「ダメです」
さすがに倒れかけたのを内緒には出来ない。
今後のこともあるだろう。
ムッと怒りながら言ったが、るるさんはばつが悪そうな顔をするばかりだ。
「内緒ね…?」
「ダメです」
「もー…チョコ、返してよ…」
そう言われ、渋々短パンから出して渡す。
るるさんは起き上がって、一つ紙をあけて俺の口に無理やり入れた。
「!!?」
予想していなかった出来事に凄く動揺した。
そして、自分の分も食べた。
「ふふ、これで共犯ね!
影山くんは、私と一緒に炎天下で繋心さんを覗き見て、鼻血を垂らしました」
ちょっと嬉しかったのに、後半の台詞で台無しだ。
るるさんは悪戯っぽく笑って、ね?と俺に聞き返す。
「しょーがないっすね…」
それに敵わなくて、笑って同意した。
チョコミントの、よくわからないスースーとした後味はあまり好きではなかったのに、その日の味は忘れられそうにない。

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