第67章 【番外編】煙の奥のチョコミント
るるさんが合宿や練習に来るのは、日課になりつつあった。
他の先輩もちょくちょく来ることから、この時期の大学生の暇さを少し垣間見る。
その日は、練習試合だったが、後輩何人かが暑さでダウンしてしまった為、コーチがコートに入った。
「るるさん買い出し行っちゃったね」
「帰ってきたら死ぬんじゃない?」
と皆が笑いながら言ってたが、るるさんは結局試合中に戻ってくることはなかった。
各地で猛暑がニュースに取り上げられている今年の夏は、暑さが確かに異常だ。
一応空調は入ってはいるが、他校もいる館内はかなり暑い。
もしかしたら倒れているかもしれない。
「戻ってきませんね」
「ヘバってたらマズイな…」
烏養コーチは心配そうにしているが、手が離せない情況だ。
近くまでは来てるかもしれないと、体育館を出てすぐ。
るるさんは踞っていた。
「………」
「るるさん!」
暑さで立てなくなったのかと思い、慌てて声を掛けると、しー!と静かにするよう合図された。
「なんでそんなところに…」
「だって、戻ってきたら繋心さんがコートにいて!
心の準備が出来てないまま試合始まっちゃって!」
「……ここで、見てたんですか…?」
「……うん」
猛暑。気温およそ33度。
時間にして一時間近く。