第66章 【番外編】極夜2
「違和感しかねえ」
久し振りの飲みの席でぼやいた台詞だった。
「そんなに?」
「や、そんなにじゃなくて、なんかこう、微妙に…」
言葉では言い表せない彼女の変化が気になっていた。
「甘え方が違うというか、いつもはどことなく距離感があるのに今はゼロ距離射撃をしてくる。
なのに、ヤらせてくれねえ」
「新手の拷問の話?」
「浮気してるとか?」
まさかとは思うが、嘘を隠すために甘えてきている?
ヤらないのは既に本命に心写りしたからか?
ここ最近の不安定さは、罪悪感の現れか?
違和感を感じたのは、数週間前、体調を崩した時だった。
急に泣いたり怒ったり、不安そうにしたりと忙しく態度を変えていた。
本人が無自覚なのがまた怖い。
ストレスでそうなったとは言っていたが、さすがにあまりにも態度が変わるので心療内科を検討する勢いだった。
が、ゼロ距離射撃をするようになってからは、安定し始めたから、まあいいか、と様子見をしているのだが。
「なんなんだ、マジで……」
不安なことには変わらない。