第58章 まほろば
「まあ、そんなことだろうと思ってたぜ」
「え!?」
「そんな中学生の考えてしたことが、今の調査でわかんねえはずねえだろ」
「そ、か……」
「お前の肩が少し軽くなったなら、来てよかったんじゃねえか?」
繋心さんに言われると、なんだか少し安心した。
ゆっくり笑うと、車が進む。
「なんか食いに行こうぜ」
いつもみたいに、話してくれる彼が好き。
なんのこともなかったかのように、いつも接してくれるところが、好き。
膝に置かれた温かい掌が、いつも私を助けてくれる。
手を重ねると、少し照れたように離されて、いつもの煙草に火を着けた。
私は、少しだけ痛んだ背中をさするすべもなく、流れる景色を見つめた。