第6章 再出発とチョコ
「それで?家を追い出されたって?」
「はい、少し複雑なのですが……。
私の両親は4年ほど前に交通事故に遭いまして、私はたまたま一命をとりとめ、二人は亡くなりました…。
親戚の今のお父様、実際はおじさまなのですが、そこに引き取られまして。
同じ年の息子さんがいるご家庭なので、就職して家を出ていく話をしたんです。
そしたら大喧嘩になりまして…」
どこまで嘘で本当か、俺にはわからない話をするとるるは目を伏せた。
前半は恐らく本当、後半は半分嘘だろう。
実際何があったかわからないが、確実にあの兄が絡んでいる。
「そりゃあ親心からしたら、実の息子のために進学辞退っていうなら大喧嘩になるわよ、るるちゃん」
まずい、という顔をるるが一瞬した。
「まあでも、もう夜は寒いし、しばらく家で過ごしなさい。
お互い頭冷やしてからまた話し合いしな」
「あっありがとうございます!!」
花が咲いたように笑うとるるはちゃぶ台に頭をぶつけんばかりに下げた。
「お礼としてはなんだけど、卒業したらうちのバカとすぐ結婚してね?」
「なっ!!」
「勿論です、繋心さんは私が幸せにします!」
俺があまりの発言にどもっていると、るるがキリっと格好いい台詞を吐いた。
吸った煙が変なところに入り、噎せて俺は咳き込んだ。
「バカ!!こういうことはアンタが言うんだよ!!
たく、だから結婚出来ないんだよ!」
「うぇっ、げほ、うるせっ!!」