第52章 【番外編】春眠暁を覚えず
「マンネリカップルのお前にいいものをやる」
「は?誰のことだよ」
暇潰しに来た昔馴染みのたっつぁんはそう言って紙袋を渡してきた。
「お前だよお前」
「マンネリしてねえよ」
「付き合ってもう1年だべ?」
「まー…」
「マンネリしない方がおかしい」
「……してねえよ」
「マンネリだって、言えよ……!
俺の心が保たねえだろー!!」
「知るかよ……」
事実、マンネリ所の話ではない。
同棲を始めてから間を開けたのなんて、ほんの片手で足りるくらいの回数である。
嬉しい反面、相変わらず体力の消耗は俺にとって死活問題であった。
そして春、季節の問題にするのはもしかしたら間違っているかもしれない。
昔の人々は、春眠暁を覚えず、なんて上手いことを言った。
夜帰ったら兎に角眠い。
それに反比例して、三月兎という単語もあるし、外の猫がにゃうにゃうとうるさく声を上げる季節。
アイツも、盛っている。
生理前は更にエグい。
より一層強まる彼女の香りは、どんな状態でも奮いたたせてくる。
その上に、あのよくわかっている媚び方、100点満点中500点満点である。
それを踏まえた上で言うなれば、
「前くれた飲む系は、割りと助かるんだが」
「やめろ!!もう俺のライフは0だ!!」
「お前から話振ってきてんじゃねえかよ !」
貰った物を見ると出てくる未開封のオモチャの数々。
「どうしたんだ?これ」
「東京土産」
「普通の物にしてくれや……」
「いやこれとか、通販でも扱いがないって……」
「買わねえよ!」
「んなに大変なら本人に勝手に使ってもらったらいいだろー?」
「………なるほど…」